秋の気配を感じる時期になったら海苔作りがスタートします。
海苔は水温が下がるにつれて生長します。
春から夏の間、糸状体として生長を続けた海苔は、夏から秋にかけて殻胞子)を
つくります。それが水温23度台になると殻から飛び出します。その飛び出す頃に
海苔網に付着させます。その後、網についた海苔の胞子は葉体となり、生長しながら
その葉体からさらに胞子を出していきます。
① 春から夏にかけて海苔のタネになるフリー糸状体をカキ殻で培養します。
② 糸状体に殻胞子嚢が作られ、水温の低下と共に分裂し殻胞子を放出します。
この殻胞子を網に付着させる作業が種付です。
③ 種付けを終え海苔芽がある程度生長すると、一部の網は陸揚げされ適度に
乾燥させてマイナス20~30度で冷凍保存します。この海苔は12月の出番まで
しばらく冬眠させます。
④ 網に付着した海苔の胞子は葉体となり生長していきます。この時期にはいい
海苔に育つように網を洗浄したり、潮の干満を考えながら海苔を日光浴させ
るために網の高さを調節したりします。
⑤ 順調に育った海苔は秋芽と呼ばれ15センチ前後に生長する11月初旬から
第1回目の摘み採りをします。秋芽は11月下旬まで、海苔の育ち具合を
見ながら3回ほど摘み採られます。
⑥ 摘んできた海苔は各漁家で、よく水洗いし、ミンチにかけ、海苔すき、乾燥、、
選別を経て束にします。その後、漁協にて品質検査を受け、規格と等級に
基づいて格付けされます。
⑦ 全国から集まった指定の海苔商社が独自の判断で入札が行われます。
もっとも高い値を付けた商社が競り落とします。
⑧ 仕入れられた海苔は加工場で年間を通して同じ味わいを保つために、
火入れ加工が行われ冷凍もしくは低温保存されます。その後、順次、
業務用や家庭用、焼海苔や味付海苔と加工し、全国へ出荷されます。
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有明海は昔から海苔の養殖で有名な産地です。この九州の自然の恵み豊かな 水質と、気候の良い有明海で養殖された海苔が有明海苔です。有明海苔は 一般の海苔よりも柔らかめの仕上がりで香りもとても良い良質な海苔です。 有明海に面する数県に渡って養殖され、各種贈答用に幅広く利用されています。一度 有明海苔を食べると、その独特のまろやかな口どけと味わいに驚かれると思います。 |
有明海苔はそのとろけるような柔らかい舌触りが特徴ですが、それは有明海苔が育つ有明海の海水の比重が低いからです。比重が低い海水は、柔らかい海苔を作り出すのです。しかし、出来上がりは、天候の影響を受けやすく、美味しい海苔 を作るために生産者の方は、勘と経験そして不断の努力が必要です。 |